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こじじゅんれい

古寺巡礼

和辻 哲郎

線上閱讀和辻 哲郎《古寺巡礼(こじじゅんれい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 143,765 字 · 285 頁

青空文庫

しかしこの進歩は自国文化の独立のための努力によって得られたというわけではない。大唐文化が潮のように押し寄せて来た時代の人々は漢語漢文の使用を熱心に企てていたのである。自国の言葉の使用は宣命や和歌に限られていた。ということは、それが新しい思想や制度に対して役立たぬものと認められていた証拠である。すでに国文が精練された様式を獲得した後にも、漢文は何か偉いものとして通用した。女のみが和文をつくる時代は問わないにしても、近松や西鶴の出た後でさえなお漢文は流行し、また漢文を作ることが学者に必須な資格であった。現今でさえ外国文でその労作を発表する人は、外国文を綴り得るということだけですでに一種の尊敬をうけている。このような日本人が、かつて自国の文章を持たなかった時代に、漢文を自国の文章として怪しまなかったとしても、特に不思議がることはない。日本文はむしろ教養の不足のためにやむを得ず生まれてきたのである。すなわち平安朝の和文は漢学の素養の少ない女の世界から生まれ、漢字まじりの文は漢文を作る力のない武士の階級から生まれ、口語体は文章体をさえ解し得ない民衆の間から生まれた。