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こじじゅんれい

古寺巡礼

和辻 哲郎

線上閱讀和辻 哲郎《古寺巡礼(こじじゅんれい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 143,765 字 · 285 頁

青空文庫

が「天女」として「女」の感じを強調した痕は著しい。そこから薬師寺画像のごとき美人像が出たのであろう。

『霊異記』の伝えている聖武時代の逸話なども、幾分この点について暗示を与えるかと思われる。それは和泉国の血渟山寺に安置せられていた吉祥天女の摂像についての出来事である。信濃から来てこの山寺に住んでいた一人の求道者が、天女像に恋して、六時ごとに、あなたのような美しい姿の女をわたくしに妻あわせて下さいと祈っていたが、ある夜ついにこの天女像と婚する夢を見た。翌朝行って見ると、それがただ夢のみではなかったことがわかった。その男は慚愧して、わたくしはただあなたに似た女をお願いしたのです、といってあやまった、というのである。『霊異記』のなかでこの種の逸話が伝えられているのはただ吉祥天女像のみであろう。それだけに当時の天女像がどういう印象を与えやすかったかも想像される。美術品に対してこの種の実感を抱くことは、その美術品が信仰の対象として人格的な力を持っていた時代には、単に美意識の不純というだけにとどまらない。だからそういう危険を誘発するような像画があえて作られたということには、何らか暗い背景がなくてはなるまい。