輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
こじじゅんれい
古寺巡礼
和辻 哲郎
線上閱讀和辻 哲郎《古寺巡礼(こじじゅんれい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 143,765 字 · 285 頁
そのせいか汽車から見える当麻の山の濃く茂った※とした姿が、ひどく陰欝に、少しは恐ろしくさえ見えた。その感じは、高田*で汽車を降りて平坦な田畑の間を当麻寺の方へと進んで行く間も、絶えず続いていた。山に人格を認めるのは、素朴な幼稚な心に限ることであろうが、そういうお伽噺めいた心持ちをさえ刺戟するほどにあの山は表情が多い。あたりの山々の、いかにも大和の山らしく朗らかで優しい姿に比べると、この黒く茂った険しい山ばかりは、何かしら特別の生気を帯びて、なにか秘密を蔵しているように見えた。当麻の寺が役の行者と結びつき、中将姫奇蹟の伝説を育てて行ったのは、恐らくこの種の印象の結果であろう。
* 今では大阪鉄道当麻駅でおりるのが最も便利である。駅からは六七町。本文に当麻の山と書いたのは二上山である。寺は二上山の東南麻呂古山の東麓にある。
麦の黄ばみかけている野中の一本道の突き当たりに当麻寺が見える。その景致はいかにも牧歌的で、人を千年の昔の情趣に引き入れて行かずにはいない。茂った樹の間に立っている天平の塔をながめながら、ぼんやりと心を放しておくと、濃い靄のような伝奇的な気分が、いつのまにかそれを包んでしまう。