輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
こじじゅんれい
古寺巡礼
和辻 哲郎
線上閱讀和辻 哲郎《古寺巡礼(こじじゅんれい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 143,765 字 · 285 頁
斜めに歩く角度は伸縮自在であるから、塔の運動の趣も変幻自在である。わたくしの歩き方はもちろん不規則であった。塔の運動も従って変幻きわまりなかった。しかもその変幻を貫いている諧調は、――というよりも絶えず変転し流動する諧調は、崩れて行く危険の微塵もないものであった。
この運動にはもとより色彩がからみついている。五層の屋根の瓦は蒼然として緑青に近く、その屋根の上下両端には点々として濃い緑青がある、――すなわち一列に軒端に並ぶの先と、勾欄のところどころについている古い金具とである。屋根と屋根との間には、勾欄の灰色や壁の白色や柱・斗拱の類の丹色や雲形肘木の黄色などがはさまっている。そのなかでも特に丹色は、突き出た軒の陰になるほど濃く、軒から離れるほど薄くなる。すなわち斗拱の組み方が複雑になっているところは丹色が濃く残り、柱の下部に至るほど薄く鈍くはげて行くのである。そうしてこれらの色彩の最下層には、裳階の板屋根の灰色と、その下に微妙な濃淡を示す櫺子の薄褐灰色と、それを極度に明快に仕切っている白壁の色とがある。――これらすべての色彩が、おのおの速度を異にして、入り乱れ、走せちがい、流動するがごとくに動くのである。