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こじじゅんれい
古寺巡礼
和辻 哲郎
線上閱讀和辻 哲郎《古寺巡礼(こじじゅんれい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 143,765 字 · 285 頁
この薬師像の面相は、正面から見ると香のくすぶり方のせいでちょっと変に見えるが、よく見ると輪郭のしっかりした実に好い顔である。それは横へ回って横顔を見るとよくわかる。肩から腕へかけての肉づけなども恐ろしく力強いどっしりした感じを与える。木彫でこれほど堂々とした作は、ちょっと外にはないと思う。全体が一本の木で刻まれているというばかりでなく、作全体に非常に緊密な統一が感ぜられる。この像の人を圧するような力はそういう大手腕に基づくのであろう。
かつて講義の時関野博士はこの像を天平仏と見ていられたように記憶するが、われわれは弘仁仏ではなかろうかと話し合った。衣文の刻み方の強靱な、溌剌とした気持ちが、どうもそのように思わせる。
香薬師は今日は見ることができなかった*。
* 香薬師は白鳳期の傑作である。かつて盗難に逢い、足首を切断せられたが、全体の印象を損うほどではない。最初訪れた時はそういう騒ぎのあとで、倉の中に大事に蔵ってあるとのことであった。その後この薬師像を本尊とする御堂もでき、御廚子を開扉してもらって静かに拝むことができるようになった。御燈明の光に斜め下から照らされた香薬師像は実際何とも言えぬほど結構なものである。