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こじじゅんれい
古寺巡礼
和辻 哲郎
線上閱讀和辻 哲郎《古寺巡礼(こじじゅんれい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 143,765 字 · 285 頁
従ってシナ風の装いをした四天王や十二神将の類は、特にシナ美術の独創を現わしているかもしれない。
四天王を堂の四隅に安置するやり方も、シナの寺院建築と密接な関係があるであろう。仏教美術がシナで屈折した度はよほど強いものらしい。そうしてその土台となった西域の美術が、すでにインドよりもガンダーラの方をより強く生かしていたと考えられる。日本へ来た仏教美術はもう幾度かの屈折を経たものである。
戒壇院から、三月堂へまわった。
三月堂の外観は以前から奈良で最も好きなものの一つであったが、しかし本尊の不空羂索観音をさほどいいものとは思っていなかった。しかるに今日は、あの美しい堂内に歩み入って静かに本尊を見上げた時、思わずはっとした。全くそこには後光がさしているようであった。以前にうるさいと感じたあの線条的な背光も、今日は薄明のうちに揺曳する神秘の光のように感ぜられ、言い現わし難い微妙な調和をもって本尊を生かしていた。この本尊の全体にまだらに残っているあの金の光と色とは、ありふれた金色と違って特別に美しい豊潤なもののように思われる。それにはあの堂の内部の、特にあの精巧な天井の、比類なき美しい古びかたが、非常に引き立てるようにはたらいているであろう。