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ちきゅうとうなん
地球盗難
海野 十三
線上閱讀海野 十三《地球盗難(ちきゅうとうなん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 頁
岩蔵は愕いて、学士を呼びかえすために両手をさしのばしたが、何と思ったものか、そのまま手を引込めてしまった。
大隅学士は、植込みの中を注意ぶかく縫っていった。そして勝手知った裏口から、ソッと本館内に忍び入った。
それから、五階までの階段を、コトリとも跫音を立てぬように登って行った。五階までのぼりきると、何だかしらぬが、シュウシュウシュウシュウという物音を耳にした。それは器械の音というのではなく、むしろ呻き声か鳴き声かに類していた。強いて相似なものを求めると中米の砂漠に住んでいるガラガラ蛇の尻尾から出る怪音に似ていた。
大隅は、なおも跫音を忍んで、廊下の上を歩いていった。
「どの部屋だろう?」
尋ねてゆくと、やがてそれは分った。それは、かつて彼が辻川博士のために実験台の上に乗せられ、博士の独言によれば、オメガ線と疑問線という二つの怪光線を身に浴せかけられようとしたその部屋――つまり「第一実験室」であった。
そこで彼は、思い切り勇気を出して、廊下に積んであった空函を戸口に重ねると、扉の上の廻転窓の中を透して、ソッと室内を窺ってみた。
「……ああッ……」
学士は愕きのあまり、函の上から転げ落ちそうになって、やっと怺えることができた。