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ちきゅうとうなん

地球盗難

海野 十三

線上閱讀海野 十三《地球盗難(ちきゅうとうなん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 頁

青空文庫

新聞記者団

よく見れば、なるほど紛れもなく本館にちがいない。あの大きな建物が、一瞬にして天空に舞い上るとは一体なにごとであろうか。

「こいつは全く愕いた。武夫君、あの本館の建物は、それ自身が一つの大きなロケット仕掛になっていたんだよ。なんという恐ろしいことだ。僕もぐずぐずしていれば、今ごろはあんな高いところを飛んでいたのだ。いやこれはなんといっていいか、実に胆をつぶした」

武夫は大隅の方を見下ろして、しばらくはポカンと口を開いていた。

「ねえ――先生。あの中には、シュワルツコッフとかいう博士がいたんじゃないのですか」

「そうそうシュワルツコッフ博士だ。それから偽のシュワルツコッフ博士もだ。二人のシュワルツコッフ博士が一緒に天上してしまったのだ。なぜだろう。なぜだろう。僕は気が変になりそうだ」

新聞記者団

その訳は分らずとも、本館が二人のシュワルツコッフ博士をのせたまま、一瞬にして天空に飛び去ったことは飽くまで厳然たる事実であった。

あの豪華な研究室も、貴重な機械室も、そして謎を包んだ観測数値も、ともに空中に消えてしまったのであった。あとに残るものは何であるか。それは徒らに厳めしい塀と、杜の中の大きな檻と、門番小屋と、多分それだけであろう。