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ちきゅうとうなん
地球盗難
海野 十三
線上閱讀海野 十三《地球盗難(ちきゅうとうなん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 頁
「あッ、それは危い。ま、待て……」
「貴方は一体何者です。辻川博士の書斎を荒し、そして秘密書類を勝手に取り出すとは……」
ドクトルは恐ろしい形相をして机の向うをジリジリと横に動いた。大隅は少しも油断せず、ドクトルが豹のようにおどり懸ってくるのを警戒して、だんだんと戸棚の方に退いていった。全く息づまるような睨み合いだった。
「抵抗はしない。何もかも云うから、その洋杖を下に下ろして呉れたまえ。そして……そんなこわい顔をしないで……」
とドクトルは柄にもなく哀訴した。
その言葉に大隅学士は、少し動かされた。
と、その瞬間の出来事だった。大隅の立っていた床が、ガタンと下に落ちた。
「呀ッ!」
彼はサッと下に墜ちゆく自分の身体を、なんとかして墜とすまいとして、死に物狂いでもがいた。彼の手は辛うじて絨毯の端を掴んだ。
ドクトルは、弾丸のように飛んで来たが、大隅が落し穴から落ち切っていないのを見ると、大変狼狽してクルリと、踵をかえすなり、扉を開いて、室外に脱兎のように逃げだした。
大隅学士は懸命なる努力を払って、落し穴にも落ちないで、やっと立ち上った。彼は側にある洋杖を握ると、ドクトルの後を追って、室外に飛び出した。