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ちきゅうとうなん

地球盗難

海野 十三

線上閱讀海野 十三《地球盗難(ちきゅうとうなん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 頁

青空文庫

では仕方がありません。私一人で出かけましょう」

「まあ、待った待った。あの森へ行くのは見合わせなされ。この村で、あの森に入る奴があったら、それはそいつが悪いのじゃということになっている。……」

「では、武夫君を見殺しにするのですか」

「見殺しなんて、そういうわけじゃないけれど、とにかく祟りが恐ろしい。やめて下され、やめて下され」

「一体、なぜあの櫟林が魔の森なんです。そのわけを聞かせて下さい」

「わしは知らん。とにかくいかんのじゃ。お前さんがあの森に出かけて、万一のことがあると、村の迷惑じゃ。お美代や武夫がこんなことをしでかしたのも、もともとその親どもの注意が足りないからじゃ。だから現にこんなに迷惑をしとる」

書記の機嫌はだんだんと悪くなってきた。大隅理学士はそれ以上云うこともどうかと思ったのでそのままその場を立ち去った。

彼は廻り路をして、問題の櫟林の見える街道へ出た。その森は気にして見るせいか、千古の秘密を蔵しているように欝蒼と茂っていた。しかしたとえどんな魔物が棲んでいようと、武夫をそのまま見殺しにするのは人道上許しがたいことだった。これはどうしても森の中へ入って、探検しなければならぬと決心した大隅は、太い洋杖を握りしめて、森の方へドンドンと歩いていった。