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ちきゅうとうなん
地球盗難
海野 十三
線上閱讀海野 十三《地球盗難(ちきゅうとうなん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 頁
そのうちにお美代はハッと気がついた。
「アラ、代志子はどうしちゃったのでしょう。話に夢中になっている間に、どこへ行っちまったんでしょうね」
「おお、――」と大隅学士も、夢から覚めた人のように四囲を振りかえった。しかしお美代の抱いて来た赤ちゃんの姿は、どこにも見えなかった。
「まア、どっちへ匍っていったのかしら。……代志坊ーや。代志坊! どこへいったのよオ」
大隅学士も俄かに狼狽し、その辺の雑草の繁みをやたらに掻きまわしてみたが、尋ねる赤ちゃんの姿は遂に見出しかねた。お美代は重なる恐怖の出来事に堪えられなくなったものか、急に顔色が蒼くなったかと思うと、気を失ってどっとその場に倒れてしまった。一体お美代の妹はどこまで匍っていったのだろう。
若しもそこに誰かが通りかかって先刻から話し込んでいるお美代と大隅学士との背後に突如として起った異変の一伍一什を眺めていた人があったとしたら、彼は必ずや二人の話し半ばに、あまりの怪奇さに異変半ばにして目を廻してしまったことだろう。すなわち彼はまずお美代の妹が嬉々として丘の上まで匍ってゆくのを認めたろう。それはまことに無邪気な光景だった。