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ちきゅうとうなん
地球盗難
海野 十三
線上閱讀海野 十三《地球盗難(ちきゅうとうなん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 頁
それは丁度、大隅の目の前に落ちてきた。佐々記者が自慢するだけあって爆弾投下術はなかなか巧みだ。――そこに転がる黒いものは袋だった。その中には、握り飯とキャラメルとが入っていた。佐々砲弾の心尽しだった。
大隅学士は、空中から投下された兵糧によって腹を充たした。そして元気に、夜の更けてゆくのを待った。
やがて人気のない邸内は、深山のように静かに更けていった。静かというよりは、物すさまじき夜を迎えたといってよいかも知れない。林の中には、どこから飛んできたのか梟がホウホウと鳴きだした。それに交って欅の森の中からは何ものとも知れぬ怪しげなる泣き声が聞えてくるのであった。それはそこの壁、ここの丘に木魂して、ゾクゾクと襟元に迫った。――大隅学士は繁みの中からソロソロ匍いだした。
博士の住む建物には、灯があかあかと点いた窓が二つ見える。それはまるで海坊主の二つの眼のようにも感じられた。その窓下に忍びよった大隅学士は、恐る恐る頭をあげてみた。室内には、剥製にした動物の標本が処も狭く並んで居り、広々とした壁にはいろいろの天体図や気象図などが掲げてあった。辻川博士はと見ると、大きな机に向って何か熱心に読書をしている様子だった。