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ちきゅうとうなん
地球盗難
海野 十三
線上閱讀海野 十三《地球盗難(ちきゅうとうなん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 頁
博士は頭部に裂傷を負って、赤い血がタラタラと額の上を走った。そしてツツーと流れてキラキラする白髪の交った髯の中へ溜り、それがボタボタと床の上に落ちていった。普段からすさまじい博士の形相が、さらに物凄さを加えて、悪鬼のように見えた。
「……おお、神よ。われを見殺しにしたもうことなかれ!」
博士は悲痛な声を絞って、天井の片隅を睨んだ。
そのころ、博士の邸内においては、博士の思いもかけぬような異常な光景が展開していたのを、博士自身はまだ気づかなかったようである。
博士邸の塔の真下にある発電室の中には、二つの人影がこま鼠のように敏捷に立ち働いていた。
「……ねえ河村さん。貴方はすこし静かにしていてはどうですか。今に胸の傷が、ひどい熱を持ちますよ」
といったのは、発電機のところで、油だらけになっている大隅理学士だった。
「いいや、わしのことなら大丈夫でござりまするわい……」と、胸一ぱいに繃帯をした顔色の悪い男が、疳高い声で叫んだ。「わしの生命は、もう長うござりませぬでナ。まだ眼玉の黒いうちに、辻川のやつに一と打でも二た打でも恨みを報いてやらぬでは、死のうたって死なれませぬじゃ。