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ちきゅうとうなん
地球盗難
海野 十三
線上閱讀海野 十三《地球盗難(ちきゅうとうなん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 頁
「オーイ、河村さアーン」
大隅学士は、河村を抱き起すなり、その耳許に口をつけて叫んだ。しかし彼は、かすかに呻ったまま、またグッタリと長く伸びてしまった。河村の手足は、みるみる冷くなってゆく。
「これはいけない。……誰か手を貸してくれないかア……。」
と、無駄と知りつつ、彼は無人境に等しい怪博士邸内の動力室で、悲鳴をあげた。
そのときだった。
「おお……」
誰か応えた者があった。何者かとふりかえって見ると、入口のところからオズオズと顔を出したのは、外でもない怪博士の下僕の岩蔵だった。彼はコトンコトンと義足をひきずりながら、室内へ入ってきた。
「おお、君は居たのか。……今まで何故引込んでいたんだ」
大隅学士は、岩蔵が博士に連れ立って、ロケットで飛び出したものと思っていた。だから、彼の出現は思いがけなかった。しかし岩蔵の話を聞いてみると、こうだ。――博士が自らロケットに乗り込んだときに、突如河村が姿を現して、まだ開いていた入口に飛びついた。そこで博士と物凄い格闘が始まった。岩蔵は博士に力を貸すべきだったかも知れないが、河村とは旧知の間柄であり、彼の強いことを知っていたので、これは面倒だと逃げだした。