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ちきゅうとうなん

地球盗難

海野 十三

線上閱讀海野 十三《地球盗難(ちきゅうとうなん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 頁

青空文庫

「……ああ、この光り物が、そうじゃないかしら……」

大隅は突然チカチカと息をしているような光芒を認めた。それはボンヤリしていたが、それをレンズの中心に持って来て置いて、その上で焦点を合わせてゆくと、その姿はだんだん明瞭になっていった。

「おお、B18号。……これだッ、砲弾の乗っているのは……」

ところが佐々の乗ったロケットの距離を電子望遠鏡の目盛で読んでみて愕いた。地球からの距離は、丁度八百キロメートルの向うにあった。それではもう成層圏なんか、とうの昔に飛び越し、電離天井のE層やF層も突き抜け、その三倍も向うに居るのだ。しかも見ていると、佐々砲弾の乗ったロケットは、地球の方に舞いもどるどころか、なおも一層グングンと地球を離れてゆきつつあることが、望遠鏡の目盛の再調整で、それと分ったのである。一体その行方は何処であるか。佐々砲弾はどんな気持で乗っているのだろう。地球に拙劣な着陸をして一命を隕とすよりはいいけれど、行方も見当がつかないのでは仕方がない。

大隅学士は、電子望遠鏡の前に坐りきり、刻一刻と、佐々のロケットにピントを合わせては、際涯しらぬ天空にとびだしてゆく友の身の上を心配しつづけた。