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とうじょうのきじゅつし

塔上の奇術師/鉄人Q

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《塔上の奇術師/鉄人Q(とうじょうのきじゅつし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 151,766 字 · 303 頁

青空文庫

ペロペロ、ペロペロと、赤ぐろい、ほのおのような舌が、目にも見えない早さで、とびだしてきました。それが、小林君のほおを、なめたのです。ゾッとするほど、つめたい舌でした。

「ウヘヘヘヘヘ……。」

おそろしい、笑い声が、ヘビの口の中から、もれてきました。ニシキヘビが笑ったのでしょうか。

まっかな口が、小林君の目の前で、ガッと開いています。いまにも、のみこまれそうです。小林君は、思わず、その口の奥を見ました。そして、さすがの小林君も、あまりのおそろしさに、まっさおになってしまいました。

ヘビののどの奥に、みょうなものが見えたのです。なんとも、えたいのしれない、へんてこなものでした。

それは大きな白いまるいもので、そのまるいものに、目や、鼻や、口がついているのです。人間の顔に、似ています。

それでは、さっき笑ったのは、ヘビではなくて、ヘビののどの奥にいる、このへんなやつだったのでしょうか。

「ウヘヘヘヘ……。」

そうです。たしかに、のどの奥のやつが、笑っているのです。そいつの赤いくちびるが、笑ったかっこうになっています。

これはどうしたというのでしょう。笑っているやつは、この大ヘビにのまれたのでしょうか。