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へんじんでん
変人伝
佐々木 邦
線上閱讀佐々木 邦《変人伝(へんじんでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 10,178 字 · 21 頁
「勉強しないと、東京の叔父さんのところへやってしまいますよ」
僕が中学生の頃、母は然う言って驚かすのが常だった。叔父は母の弟だ。父は女学校の先生だけれど、叔父は高等学校の先生だから尚お豪いことになっていた。しかし父に言わせると、叔父は変りものだった。
「叔父さんは学者でしょうね?」
と僕は母に訊いて見た。
「今に博士になりますよ」
「もうなっても宜い時分じゃありませんか? 僕が小学生の頃からです」
「お上の都合ってものがありますわ」
「それよりも大学の先生と喧嘩をしているからナカ/\なれないんでしょう。学問が出来ても変人じゃ駄目ですって」
「誰がそんなことを言ったの?」
「学校の修身で習いました」
「嘘をつけってことをね?」
と母は睨んだ。
叔父の変人問題から両親の間に意見の衝突が時折起った。
「もうソロ/\貰いそうなものだね。一つ俺から勧めて見ようか?」
と父が言った。博士のことだと思ったら、お嫁さんのことだった。
「駄目でしょう」
「何故? 変人だからかい?」
「変人なんてことありませんわ。頭のなかが学問で一杯ですから、常識が圧倒されているんですわ」
「兎に角、もうソロ/\四十だよ」