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やまとこじふうぶつし

大和古寺風物誌

亀井 勝一郎

線上閱讀亀井 勝一郎《大和古寺風物誌(やまとこじふうぶつし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 108,647 字 · 215 頁

青空文庫

つまり動くようで動かない。そういう微妙をこの仏体はあらわしているのだ。このみ仏について志賀直哉氏の「早春の旅」にしるされた次のような感想がある。

「……推古朝といえば今から千三百年前、この像はその時から日本の歴史のあらゆる嵐を見て来ている。平重衡や松永久秀の南都炎上も法輪寺からならば眼のあたり望み見たわけである。そして、今はまたこの像は未曾有の国難を見ているのだ。元兵が九州を犯した国難も知っていれば、法華堂の執金剛神が蜂になって救いに出たという将門の乱も知っている。千三百年来のよき時代も苦しい時代も総て経験しているのだ。この像は今の未曾有の時代も何時かは必ず過ぎ、次の時代の来る事を自身の経験から信じているに違いない。が、同時にその時代もどれだけ続くか、又その先にどんな時代が来るか、そんな事も思っているかも知れない。然し如何なる時代にもこの像は只このままの姿で立っている。執金剛神のように蜂になって飛出すわけには行かない像である。この世界がいつ安定するか分らないが、その理想をこの仏像は身を以って暗示しているかのようである。」

おそらく仏の身をもって示す窮極は、すべてかくのごとくであろう。