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やまとこじふうぶつし
大和古寺風物誌
亀井 勝一郎
線上閱讀亀井 勝一郎《大和古寺風物誌(やまとこじふうぶつし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 108,647 字 · 215 頁
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天平の美は、正倉院御物と万葉集と仏教美術によって代表されることは周知のところであろうが、とくにこのみ代の仏教を語るものにとっては、聖武天皇ならびに光明皇后の御名は、忘れ難いであろう。東大寺――わけても今日「奈良の大仏」として親しまれている毘廬舎那仏鋳造や、法華滅罪寺の建立は御二方の名を不朽ならしめた。御二方なくしては天平仏教の開花はありえなかったであろう。何故かくも信仰が深かったのだろうか――。上宮太子の義疏のごとく、仏教について内奥の思念を直接語られたような文書はもとより伝わっていない。我々は主として続日本紀にしるされた詔勅や御挙措や伝説をとおして、み心を偲ぶ以外にない。深き信仰を抱かせらるるに至った様々の要因を、私は続紀にあらわれた時代の相にふれつつ推察申し上げようと思うのである。
上宮太子が薨去されてからおよそ九十年、元明天皇が平城京に都を定められた頃は、内外の紛争も漸く下火となり、わが国富と諸々の芸文は益々増大充実してきた頃であった。この九十年間には蘇我入鹿の専断と横死あり、ついで中大兄皇子と鎌足による大化改新の断行、わが国礎の漸く定ると思われた間もなく、壬申の大乱が起るといったように、云わば危機の連続であったが、奈良朝に入るとともにひとまずこれも終焉したかにみえる。