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やまとこじふうぶつし

大和古寺風物誌

亀井 勝一郎

線上閱讀亀井 勝一郎《大和古寺風物誌(やまとこじふうぶつし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 108,647 字 · 215 頁

青空文庫

このことについては既に一度ふれたが、ここでは天平五年後の有様を概観してみよう。

長屋王の変の後、光明子立后のことが行われたのは天平元年である。藤原氏の専権はいよいよ強固になった。しかし唐文化の流入やこの専権に由る思想的混乱は依然として激しく、他方において盗賊がいたるところにはびこって、為政の苦悩は極度に達していたと推察される。加うるに天平四年から六年にかけては諸国が飢饉に襲われ、百姓の労苦甚しく、その上地震も屡々起きて寺社家屋の倒壊したことが続紀にみられる。仏教はむろん一般民草のあいだに浸透していたわけではない。行基や良弁のごとき人々が漸く教化の門立にのぼろうとしていた頃である。こういう状態を最も端的に示しているのは聖武天皇詔勅であって、その核心は、民情に心悩まされた悲心の御言葉にみちている。のみならずこれら一切の災禍と昏迷を、天皇は自らの上に担われ、身を賭して国内の平穏を祈られているのである。詔勅はすべて祈念の言葉であり、御信仰の深まり行く有様ともみられる。

たとえば天平四年の夏陽旱に際して、雨を請わしめられたときの詔の一節。

「春従り亢旱にして夏に至るまで雨ふらず。