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やまとこじふうぶつし
大和古寺風物誌
亀井 勝一郎
線上閱讀亀井 勝一郎《大和古寺風物誌(やまとこじふうぶつし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 108,647 字 · 215 頁
と云ったものを、合掌と云い換えてもいいであろう。渾身の力をこめた本尊の合掌は、日光月光に余韻し、両菩薩は更にその合掌に対して合掌するといったような内面の交流がみられないだろうか。或はまた、両菩薩のさりげなく手をあわせつつ、次第に深まって行くその漸進的な力が、本尊に集結して、極点のごとくここで高度の強烈さを具現したとも考えられないだろうか。私は三像を拝しつつ、合掌による対話を思った。この対話はそのまま天平人の信仰の音階を示しているのかもしれない。白夜のごとき瞑想と涅槃への憧憬、その静かな思いが、脚下の地獄にふれて忽ち炎のような祈念の合掌となり、その悲痛から、今度は再び柔く和かな思いに帰る。つまりこの往還のメロデーを三像は奏でているのだ。これは長い年月が、自然に現出した宗教的演出と云ってもいいであろう。
三月堂を訪れるたびに私は不空羂索観音と両菩薩の荘厳に感嘆し、正面よりこれを拝して辞し去るのであるが、その他大勢の群像にはついぞ心をひかれることはなかった。四隅に護持する増長、持国、広目、多聞の一丈の四天王をはじめ、この間に佇立する梵天、帝釈天、密迹王、金剛王、不動明王、地蔵尊、弁才天、吉祥天、及び北面する秘仏、執金剛神等、いずれも天平の精華といわるる像であるが、その安置のしつこさは後代の無精に由るのであろう