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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠4(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 264,133 字 · 524 頁

青空文庫

「どうして左様なことがありますものでござりましょう、奥方様は、どんなにか殿様を恋しがっておいであそばしますことやら」

「いやいや、あの女は恋ということを知らぬ、恋よりも一層高いものを知っているけれど……それはあの女の罪ではなくて堂上に育った過ちじゃ、過ちではない、それが正しい女であろうけれども」

「殿様、奥方様の御身分と、わたくしの身分とは……違うのでござりまする」

「それは違いもしようが」

「奥方様のお里は?」

「それはいま申す通り堂上の生れ」

「堂上のお生れと申しまするのは」

「それは雲上のこと、公卿の家じゃ」

「まあ、あのお公卿様、禁裏様にお附きあそばすお公卿様が、奥方様のお里方なのでござりまするか」

「父は准大臣で従一位の家、兄に三位、弟には従五位下の兵衛権佐がある。その中で育った女、氏と生れとには不足がないけれど……」

お君は能登守の奥方の門地というものを、初めて能登守の口から聞きました。

その晩、おそく自分の部屋へ戻ったお君は、しばらく鏡台の前へ立ったままでおりました。その身には大名の奥方の着るような打掛を着て、裾を長く引いておりました。その打掛は、縮緬に桐に唐草の繍のある見事なものでありました。