輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠4(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 264,133 字 · 524 頁

青空文庫

その卓子の近くの椅子の上へ腰をかけてよいのだか、また絨氈の上へ坐らねば失礼であるのだか、それさえお君にはわかりませんで、案内のあとに隠れてただポーッとして立ち竦んでしまったようです。能登守はその時、片隅の椅子に腰かけて卓子に向っていました。

黒羅紗の筒袖の陣羽織を着て野袴を穿いていました。門番の足軽が言った通り、今まで調練の指図をしていたのが、それが済んでからここへ来て、書物を開いて何か書いているのでありましょう。その書物は、やはり見慣れない文字の書物であります。それを見慣れた文字に書き直していたようであります。今まで広場で調練の指図をしていたという能登守は、それがために血色が活々として、汗ばんだところへ黒い髪の毛が乱れかかっていました。

「よくおいでなされた、暫らくそれでお待ち下さい」

と言って、筆を持ちながら、お君の方へ向いて莞爾とした面には、懐しいものがあります。

「はい」

お君は、やっぱり立ち場に困って、椅子へ腰をかけるのは失礼であろうし、そうかと言って、絨氈の上へ坐って笑われはすまいかとの懸念で、真赤になって立ち竦んでいるのみであります。

駒井能登守は和蘭から渡った砲術の書物を、いま自分の手で翻訳しているところであります。