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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠4(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 264,133 字 · 524 頁

青空文庫

ちょうどこの時に、この富永屋という宿屋に、一人の年増の女が逗留していました。

この間、絹商人だという亭主らしい人と一緒に来て、その亭主らしい人はどこかへ出て行って、まだ帰って来ない間を、その年増の女がたった一人で幾日も待っているのであります。

けれども、その亭主らしいのが幾日も帰っては来ないうちに、帳場へ懇意になり、主人の庄右衛門とも心安くなりました。

そうしているうちに番頭が病気になると、この女が帳場へ坐り込みました。帳場へ坐り込んだと言ったところで、主人を籠絡したり、番頭を押しのけて坐り込んだわけではなく、自分の暇つぶしに懇意ずくで、手助けをしてやるような調子で働いてやっていました。

ところがこの女は、人を遣うことが上手、客を扱うことに慣れきっていました。その技倆から言えば、前の番頭などは比較になるものではありません。このくらいの宿屋を三ツ四ツ預けたとて、物の数とも思わないくらいの冴えた腕を持っているように見えましたから、主人は舌を捲いていました。雇人たちは喜んでそれに使われるようになりました。それに、番頭の病気が捗々しくなくて湯治に出かけるというほどであったから、そのあとを主人も頼むようにし、当人も退屈まぎれの気になって、この女が今では、ほとんどこの店を預かっているのであります。