輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠4(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 264,133 字 · 524 頁

青空文庫

何事か起るべくして、何事も起らずに峠を越してしまいました。人にも咎められず、狼にも襲われることがありませんでした。ただこの道案内であり道づれである男が、かえって追手の者よりも恐ろしいものであり、或いは狼よりも怖いものであるかどうかは、まだわからないことです。

そうして黒野田の宿へ無事に着いて、まだ二三駅はらくに行ける時刻であったけれども、そこでひとまず泊ることになりました。がんりきがお松を案内したのは、前の本陣の宿ではなく、林屋という宿でありました。

ここへ着いての思い出は、お松にとって少なからぬものがあります。ここの本陣へ駒井能登守と共に泊り合せた一夜の出来事は、鮮かにその記憶に残っているのであります。

お師匠様のお絹がここで何者にか浚われて大騒ぎを起しました。狼も棲むというし、天狗も出没するという、このあたりに来た時は、あんなことがあり、帰る時にこんなことになって、剣呑な道づれに案内されて同じところの宿へ泊るというのも、お松にとって心強いものではありませんです。

ところが、この宿へ着いて旅装を解くと、まもなくがんりきの姿が見えなくなってしまいました。