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だいぼさつとうげ
大菩薩峠4
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠4(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 264,133 字 · 524 頁
お松も、はじめはそれとは気がつきませんでした。近寄って見た時に、それと知ってギョッとしました。
「お早うございます」
がんりきは挨拶をしました。
「これは、まあ」
と言ってお松は呆気に取られました。
「お待ち申しておりました」
この分では、この男に見込まれたようなものだ。
「昨夜はどこへお泊りなさいました」
とお松は尋ねました。
「ツイこの近いところに知合いがあるんでございます」
がんりきはそれだけしか答えません。お松もその上は問うことをしませんでしたが、どうしてもこの男の道づれを断わるわけにはゆきません。
「ここは橋詰というところでございます、この次がよしヶ久保と申しまして、あすこにあるのが虚空蔵様で、それと違ったこっちの方に毒蛇済度の経石というものがございます、それから白の原に白野、天神坂を通って立川原へ出て橋を渡ると神戸、それから中初狩に下初狩、上花咲に下花咲、大月橋を渡って大月」
こんなことを言って、がんりきは細かな道案内をしながら歩いて行きます。暢気に歩いて行くようだけれども、絶えず往来と前後とに気を配っていることは、お松が見てもよくわかります。ことに前後から来る人の容貌を遠くから見定めようとすることと、通りすがる人を横目に見やる眼つきなんぞは、気味が悪いばかりです。