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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠4(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 264,133 字 · 524 頁

青空文庫

その晩、お銀様の居間へ丸頭巾を被った父の伊太夫がやって来て、何か言っているようでありましたが、やがてその言葉がいつもよりも荒く聞えました。お銀様もそれに答えて二言三言なにか言いましたが、その声がやがて泣き声になってしまいました。

いつもの場合においては、お銀様が泣き声を出す時には、父の伊太夫の方で折れるのが例でありましたけれど、その晩はそうではありませんでした。

「お前のような不孝者はない、幸内をくれてやるから、それをつれてどこへでも行け、あとは三郎がおれば困ることはない」

父の伊太夫はこう言って苦り切っておりました。

「ようございますとも、ようございますとも」

お銀様の泣き声は甲走ってしまいました。

「わたしは先のお母さんの子ですから、わたしがいない方が家のためになります、三郎のお母さんと、わたしのお母さんとは違いますから、今のお母さんのためにも三郎のためにも、わたしがいない方がようございましょう、そうしてお父様は今のお母さんを大切になさいまし、わたしはどこへでも行ってしまいますからようございます」

お銀様は頭を振って泣きました。

「お銀、お前は何を言うのだ、自分の我儘を知らないで、いつもいつも、そういう言いがかりばかり言ってお父様を困らせようとしても、そうはお父様も負けてはいないよ」