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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠4(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 264,133 字 · 524 頁

青空文庫

どういう訳か知らないが、この頃、甲府の城へ御老中が巡視においでになるという噂でありました。しかも、その御老中も小笠原壱岐守が来るということでありました。この人は幕末において第一流の人物でありました。この間まで謹慎しておられたはずの明山侯が、何の必要あって突然この甲府へ来られるのだかということは、勤番支配も組頭もみな計り兼ねておりました。

多分、上方の時局を収拾するためにこの甲州街道を通って上洛する途中、この甲府へ泊るのだろうと見ている者もありました。その他、いろいろにこの御老中の巡視ということが噂になっています。ともかくも、城の内外を疎略のないようにしておかなければならないというのが、新年の宿酔の覚めないうちから、急に支配以下が働き出した理由なのであります。

御本丸から始めて天守台、櫓々、曲輪曲輪、門々、御米蔵、役所、お目付小屋、徽典館、御破損小屋、調練場の掃除や、武具の改めや何かが毎日手落ちなく取り行われます。

駒井能登守もまた、このたびの老中の巡視ということを何の意味だか、よく知りません。けれども能登守は、あの人が幕府の今の御老中で第一流の人であるのみならず、その学問――ことに能登守と同じく海外の事情や砲術にかけてなかなかの新知識の人であることを了解していました。