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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠4(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 264,133 字 · 524 頁

青空文庫

「あ、口惜しい!」

「何が口惜しいんだ、その通りだろうじゃねえか」

「わたしは殿様が好きだから、それで殿様を大事にします、殿様はわたしが好きだから、それでわたしを大事にします、それをお前は慰み物だなんぞと……あんまり口惜しい、殿様はそんなお方ではない、わたしを慰み物にしようなんぞと、そんなお方ではない、わたしは殿様が好きだから」

「好きだから? 好きだからどうしたんだい、好きだから慰み物になったのかい」

「友さん、よく言ってくれたね、よく言っておくれだ、お前からそこまで言われれば、もうたくさん」

お君はこう言って口惜しがって、ついに泣き出してしまいました。

「どっこいしょ」

と言って米友は、竹皮笠を土間から取り上げて被りました。その紐を結びながら、

「やいムク州、永々お世話さまになったが、俺らはこれからおさらばだ、お前も達者でいなよ」

ムク犬は悄然として、二人の間の土間にさいぜんから身を横たえていました。

「十七姫御が旅に立つヨ、それを殿御が聞きつけてヨ、留まれ留まれと袖を引くヨ」

米友は久しぶりで得意の鼻唄をうたいました。この鼻唄は隠ヶ岡にいる時分から得意の鼻唄であります。