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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠4(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 264,133 字 · 524 頁

青空文庫

今は一つの足音であったから、能登守にきまっていると、兵馬は襟を正して待っていると、

「兵馬どの」

果してそれは能登守でありました。

「これはこれは」

と言って兵馬は、褥を辷って礼をしました。能登守はいま研究室から来たものと見えて、筒袖羽織に袴であります。

「退屈でござろうな」

「こうして読書を致しておりますれば、さのみ退屈にも感じませぬ」

「毎朝一度ずつは、庭へ出て散歩をなさるがよかろう。いずれ近いうちには、自由の身にして上げたい、もう暫くこのままで辛抱されるように」

「有難きことに存じまする、なにぶんのお指図をお待ち申し上げまする」

「時に宇津木どの、ちと保養をしてみる気はないか」

「保養と仰せあるは?」

「気晴しに、面白い遊戯をしてみる心持はないか」

「それは、永々の鬱屈ゆえに、何なりと仰せつけ下さらば、お相手の御辞退は仕りませぬ」

「別に拙者の相手を所望するのではない、どうじゃ兵馬どの、馬に乗ってみては」

「それは一段と結構なことに存じまする、承りてさえ心が躍るように存じまする」

「馬に乗ることのほかに、さだめて御身は弓をひくことも得意でござろうな」

「弓?……それもいささかは心得ておりますれど、ホンの嗜み、得意というほどの覚えはござりませぬ」