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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠4(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 264,133 字 · 524 頁

青空文庫

これをやり過ごすと竜之助は、また静かに櫓の下から出て来ました。

濠を渡ると境町の通りであります。甲府の城を右に、例の牢屋を左に、その中の淋しい通りです。そこをズッと市中の繁華な方へ歩んで来るうちにも、竜之助の勘が驚くべきほどに発達していることがわかります。一町二町先から人の足音を聞き取って、高塀や木蔭に身を忍ばすことの巧妙なのは、さながら忍びの術の精妙から出でたものかとも思われます。

通り過ぐる人を物蔭から測量して、斬って捨つべきか否かを吟味して後、やり過ごして物蔭から身を現わす時は、幽霊が出て来るようであります。

三の廓まで出たけれども竜之助はまだ、しかるべき相手を見出さないようであります。三の廓の留まりを直角に廻って、竜之助は東に向きを変えて歩みました。東に向きを変えるとお城が背になって、牢屋が左になって、行手には長禅寺山が聳えているのであります。

「ゲープ、寒いなア」

「滅法界寒い」

折助が五人ばかりかたまって来ました。

「芋で一杯飲んで来たが、ここへ来るといやに寒くなりやがった」

「それ、辻斬!」

「やい、嚇すない」

ここで黙ってしまいました。言い合せたように身ぶるいをして、