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だいぼさつとうげ

大菩薩峠6

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠6(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,112 字 · 362 頁

青空文庫

二人もまた期せずして、そちらへ廻ったけれども、そのあたりは、いつも寥々たる広野の心持のするところです。しかるに今宵は、その辺で人声が噪がしい。

こういう時に、弁信法師は何事を措いてもヒタと歩みをとどめて、仔細らしく小首を傾げて、その物音の因って起るところを、じっと聞き定めようとするのがその例です。今もまた、その例に洩るることがありません。

「大層、騒がしいようでございますね」

と言ってたちどまりました。その声は往来で起るのではありません。往来を少し引込んだところの原の中で起る、騒々しい声であります。

「喧嘩でも始まったのかな」

と竜之助が言いました。

「エエ、どうも穏かでない騒ぎ方でございます、多分、喧嘩が始まったのでございましょうと思います、そこへ、仲裁の人が出て、ああのこうのと言って、騒いでいるらしうございます」

そこで弁信は、また静かに歩き出しました。声の因って起るところをたしかめておき、どのみち二人は、その方向へ行かねばならないのです。人の噪ぐ声は、いよいよ近くなりました。その数多の人が騒ぎ罵る中に、人の泣く声が聞えます。そこで、弁信は再びたちどまりました。