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たいしゅうぶんげいさほう

大衆文芸作法

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《大衆文芸作法(たいしゅうぶんげいさほう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 63,833 字 · 126 頁

青空文庫

加うるに、日本に於ける自然主義文学運動が次第に盛んとなるや、この傾向を愈々助長促進せしめ、自然主義文学者に非ざれば、作家に非ず、とまで叫ばれるに至った。その後、文芸上の風潮は人道主義派、新理智派とそのイズムの色に変化はあったが結局彼等は、文壇小説以外の通俗文芸を度外視し去り、従って通俗文芸に対する、若き作家達の関心、努力は全く無くなって了ったのであった。このようにして、震災以前の大衆文芸は、沈滞その極に達した。

蓋し、今日の大衆文芸の隆盛は、必然的なものであって社会がかくも大衆的にならなくても、新らしい通俗文芸は当然起らねばならぬ機運にあったものだと云い得るのである。

そこで、話は震災以後に移るのであるが、震災以後に於ても、本田美禅、岡本綺堂、前田曙山、江見水蔭、渡辺黙禅、伊原青々園、松田竹嶋人と云うような人達が通俗小説を相変らず発表しているのであるが、之等の人は、謂わば硯友社派の残存者達であり、文壇小説家としては落伍した連中であって、残念ながら新らしき大衆文芸の復活者とは決して云えないのである。

復活以後の最初の作品として挙げるべきは、震災前即ち大正四五年に東京都新聞に連載された、中里介山の「大菩薩峠」