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たいしゅうぶんげいさほう

大衆文芸作法

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《大衆文芸作法(たいしゅうぶんげいさほう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 63,833 字 · 126 頁

青空文庫

である。今日でこそ、大衆文芸の一典型とまで持囃されているが、発表当時は勿論、大正十二三年頃に到る迄は、その存在すら一般には認められなかったのであった。その他、国枝史郎は、講談雑誌へ「蔓葛木曾桟」を書き、白井喬二は、人情倶楽部へ「忍術己来也」を、大佛次郎はポケットに「鞍馬天狗」を書いていた。然も、之等も亦、殆んど全く人々の注目する処とはならなかったのであった。

大正八九年頃、当時、私は「主潮」と謂う雑誌を編輯していたのであるが、その中で、私は「大菩薩峠」と、後藤宙外の大阪朝日新聞に書いた小説とを比較して、「大菩薩峠」の優れていることを賞讃したことがあったが、それも又一般の人々の認める処とはならなかったのである(以下、少々私自身の自慢のように聞えるかも知れないが、事実であるから何とも致しかたのないことだと思う)。その後、春秋社に這入った私が、喧嘩別れをして出た時に、大菩薩峠を置土産にして去ったのであった。

「苦楽」が発行されることになって、私が編輯の任に当った。そこで私は有名な文壇人達に同誌上へ通俗小説を書いて貰い、自分も書いた。それから大衆文芸の機運が漸く動き始めたと云っていいと思うのである。