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きだんクラブ〔せんごばん〕

奇談クラブ〔戦後版〕

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《奇談クラブ〔戦後版〕(きだんクラブ〔せんごばん〕)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 10,902 字 · 22 頁

青空文庫

フィナーレ

「まずそれを脱ぐがよい」

六郷左京は及び腰に手を伸ばして、花嫁の綿帽子を脱りました。少し手荒だったのか、鼈甲の髪飾りの花が、二つ三つ、床の上に散りました。

が、花嫁は物も言いません、静かに上げた顔、左京を見据えた眼、

「あ、多与里」

それは紛れもない多与里――曾てはお七のモテルになって、散々恋の遊戯をした相手の、多与里の恨に燃ゆる顔ではありませんか。

「――――」

「お前は、お前は――」

まさに左京は開いた口も塞がりません。

「怨めしい、お前の心、――紐に目印しまで付けさしたと、砧様に聴きました。でも私の歎きの深さ切なさに、砧様は我慢がなり兼ねて、皆んな教えてくれました。――」

「何? あの婆ア奴が」

「これ程までにして、私を踏みつけようとは、怨めしい、左京様」

ツと立った多与里の手には、いつの間に抜いたか懐剣が光っていました。

「あ、危いッ」

という間もありません。寸鉄も帯びなかった六郷左京は、伸びた花嫁の懐剣に胸を刺されて、

「あッ」

腑甲斐なくも尻もちをついたのです。彫物の腕は優れていても、武術の方は此上もない大なまくらだったのです。

フィナーレ

「私の話はこれで終りました。