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ぜにがたへいじとりものひかえ

奇譚 銭形平次 「銭形平次捕物控」傑作選

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《奇譚 銭形平次 「銭形平次捕物控」傑作選(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 31,249 字 · 62 頁

青空文庫

「汚ねえな、お前は腹を立てると、唾を吐き散らす癖があるようだ」

「そんな事はどうでも宜いじゃありませんか。なんとかして、夜の明けない内に、あの野郎を取って押える工夫はありませんか」

「無いよ、蔀の隙間からは、どんな槍の名人でも、二間半先に居る人は突けない。石突を握って、フラフラとくり出すと、家の中には灯が点いているんだから、苦もなく相手に逃出される、――待てよ、もういちど提灯を持って来てくれよ、俺はここで待っているから」

平次が庭石の上に腰を掛けて待っている間に、八五郎は離屋に引返して、先刻の提灯を持ち出して来ました。

「親分、持って来ましたよ。何をやらかしゃ宜いんで」

「井戸端へ来るのだ、槍はここで洗ったに違えねえ。おや、おや」

「何を考えているんです、親分」

「井戸端には血を洗った跡もあるが、この曲者は証拠をバラ撒き過ぎるようだ。それに槍の穂だけ濡れて、胴金の下から柄へかけて少しも濡れていなかったようだな」

「そうですよ」

「そこの物置の中を捜してくれ、近いところに、なんか隠してあるに違いない」

「ガラクタで一パイですね」

ガラッ八は物置の中に提灯を突込んで怒鳴っております。