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ぜにがたへいじとりものひかえ

奇譚 銭形平次 「銭形平次捕物控」傑作選

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《奇譚 銭形平次 「銭形平次捕物控」傑作選(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 31,249 字 · 62 頁

青空文庫

な女郎になりやがったんだろう――て言ってやりましたよ」

「それから」

「あの通り良いきりょうでしたが、大酒呑みで嘘つきで、嫉妬がひどくて気違い染みていたから、客の方から逃げ出して、年が明けても落着く先もなく、着のみ着のままでここへ転げ込んで来ましたよ」

「で?」

「近頃はあっしの出入り先の伊賀井様に喰い込んで、清水屋のお君坊をお妾に世話して、たんまり纏まった礼をせしめるんだと言っていましたがね」

「ところで、そのお滝さんは、武芸がよくできたというじゃないか」

「自慢でしたよ。娘のころ江戸のお屋敷で長刀のひと手、柔術から小太刀まで教わり、家中でも評判の腕前だったってね。その代り亭主野郎のこのあっしが散々で、腹を立てて取っ組合を始めても勝てっこはねえから情けない。万次と変な噂をたてられた時だって、幾度むしり合ったか知れないが、負けは何時も此方なんだ。ヘッヘッ、みっともなくてお話にもなりゃしませんや。仏様の前だから供養のために言うようなものだが――」

辰五郎の酔態は、まさに爛漫たるものでした。

「お前は先刻、あの短刀を知らないと言ったが、――ありゃやっぱりお滝の持物じゃないのか」