輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ようちゅう

妖虫

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《妖虫(ようちゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 頁

青空文庫

「ホホホホホ、赤蠍はちゃんと約束を守りましたわね」

殿村夫人の気違いめいた上ずった声だけが、甲高く響いた。

「みなさん、あの血を誰の血だと思召す。云うまでもありませんわね。で、如何でございますの。時間が一秒でも違いましたでしょうか。三笠さんはお偉い探偵でいらっしゃいますけど、これ丈けは防げませんでしたわね。赤蠍はやっぱり勝ちましたわね。ホホホホホ」

言葉丈けはいやに鄭重であったけれど、その言葉の内容は悪魔の呪いそのものであった。そればかりでなく、殿村夫人の容貌は、僅かの間に、まるで別人のように変っていた。彼女は今や正体を暴露した妖魔そのものであった。顔中に何とも云えぬ醜悪な皺が刻まれ、殊にその欠唇は異様なけだものの様に醜く見えた。

それにしても、何という奇妙な殺人手段であったろう。大蠍の鎧に包んで、品子さんを誘拐したと見せかけた、その又裏があって、実はあの蠍の中は空っぽであったのだ。そして、縛り上げ、恐らくは猿轡をはませた品子さんを、御丁寧にも天井裏へ運んだのは、あの二人の偽刑事の仕業に極まっているが、今品子さんを惨殺して血を流した曲者は、一体何奴であろう。