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きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《季節のない街(きせつのないまち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 201,379 字 · 394 頁
野本くんの言葉は、口から棒切れでも吐きだすような調子で、その棒切れの一つずつが、彼の感情に棘の生えたことを示すように聞えたのだ。
島さんは鼻と口をもぐもぐさせた。こんなときに例の発作がおこってくれれば、話題の転換の助けになるのだが、こういうときに限って、発作のやつはそっぽを向いたまま、協力しようとしないのであった。
「今朝は痛いけしきを見たよ」と島さんは云った、「いつもより早く出て、ちょっと自分の仕事をしていたんだがね、そこへ外国部次長の二平さんが来たんだ、あの人はいつも居眠りばかりしているだろう」
「あれはもう芸の一つですね」と井河くんが云った、「タイプを打つのは一日にせいぜい五通くらいなもんでしょう、大事なものは部長がみんなやっちゃうからね」
「中村部長は英語が達者なんだ」と松井くんが云った、「法明大学の夜間部の教授をしているくらいだからな、しゃべらせてもアクセントが違うよ、アクセントがね」
島さんは湯豆腐の鍋へ、それぞれの食品を入れながら、二平さんが一日じゅう居眠りをしているようすを、身振り入りで語り、上品に笑い、デリケイトな発作が過ぎ去るのを待って、話を戻した。