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あんごしんにほんふどき

安吾新日本風土記

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《安吾新日本風土記(あんごしんにほんふどき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 22,916 字 · 46 頁

青空文庫

反魂丹とケロリン

巻でないことだけは確かだよ。誰か知ってる人はいないかね」

「そうかなア。調べてみよう」

この新聞社きっての土地通、調査部長という人物が現れてようやく解決した。角田村というところであった。しかし、その村を見てきたという人物は誰もいなかった。土地の新聞がそうである。芸者の本拠地を訪れる人は多いが、その裏側の毒消し部落へ足をのばす人はいないのだ。むろんそこには宿屋もない。毒消しは日本の村々を訪れる渡り鳥だ。その鳥の巣は誰も知らない。人は渡り鳥の本拠へ旅行する必要がないのである。そして私がこの旅の終りに辿りついた渡り鳥の本拠は意外きわまるものであったが、旅の順序にしたがって、まず富山の薬から語りはじめることにしよう。

反魂丹とケロリン

富山に七十いくつの製薬会社があるうちで、いまはもうこの反魂丹というものを造っているのは一二しかないそうだが、元来富山の薬は反魂丹という名であった。そもそもこの一ツで売りだしたものである。

私は反魂丹の名を落語できいていた。ちかごろ聞いたことがないが、高尾の幽霊が現れる話である。八サンの隣り長屋に住んでいる浪人者が夜な夜な美女とアイビキしているのを知って、八サンが浪人者を訪ねてワケをきくと、この美女実は高尾の幽霊だ。