輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
あずさがわのじょうりゅう
山岳紀行文集 日本アルプス
小島 烏水
線上閱讀小島 烏水《山岳紀行文集 日本アルプス(あずさがわのじょうりゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 138,795 字 · 274 頁
ふと、頭の上を見ると、谷に冠さるようにのさばって、古い、大きな、先刻のと同類の楊の梢が一本ぶらりと垂れている。その梢に、一面のほうけた絮が、風もないのに、氷でも解けるように、はらり、はらりと、落ち散るのであった。
その後、春になって、街道に青く角芽ぐむ柳の糸を見るたびに、大井川上流の深谷に秘められて、黙々と、皺だらけな、深刻な顔を、水に覗かせている老楊が……ああ、今もなお、鮮やかに眼に。
前夜の小舎から半里ばかりの間は、水もかなり深くて色も鮮やかである。水成岩の峡間を流れるだけあって、どこか、赤石山下の、小渋川に似ている。小渋川よりも、川幅が狭くて、谷地が、かえって濶いだけに、徒渉の回数は少い、深山の渓流としては、先ず安楽な方で、小渋川や、槍ヶ岳の蒲田谷などとは、深さと、急と、嶮しさとにおいて、到底、比べられない。
なお半里も来て、下氷瀬というところになると、枯木と、石の欠片の沙漠地で、水は、細く、片寄せられて、流れている。川は、やがて、左に折れて、農鳥山支脈の峡間に入って、益す狭く、石が次第に多い。うしろを振りかえると、そそり立つ山――森林で埋まる山にふさがれて、川は、全く、両山迫れる間の、凹流になってしまう。