輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

あずさがわのじょうりゅう

山岳紀行文集 日本アルプス

小島 烏水

線上閱讀小島 烏水《山岳紀行文集 日本アルプス(あずさがわのじょうりゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 138,795 字 · 274 頁

青空文庫

私はもう行くところがない。

四

振りかえれば、私たちが、前の日に苦しめられた奥穂高つづきの絶壁は、大屏風を霧の中にたたんだり、ひろげたりして、右へ右へと大身の槍の槍ヶ岳まで、半天の空を黒く截ち切っている、三木槍の頭は、尖った岩石の集合体で、両側が殺いだように薄く、そこから谷へずり下りて、基脚へ行くほど、太くひろがって、裾を引いているが、その中腹、殊に下宮川谷に臨んだ方は、万年雪が漆喰のように灰白になって、岩壁の傾斜をべったりと塗っている、遠くは西方の浄土、加賀の白山は、純潔なる桔梗紫の肌を、大空に浮き彫りにして、肩から腰へとつづく柔軟な肉は、冷たい石の線とも思われず、抛物線の震いつきたい美しさを、鼠の荒縞かけた雲の上に、うっとりと眺め入っていたが、日が暮れぬうちと思って、下宮川の谷へ下り始めた、その尾根は痩せ馬の背のように細くて、偃松が鬣を振り分けている、剃刀の刃のような薄い岩角を斜めに下り、焼岳の灰で黒くなった雪の傾斜を、嘉門次に鉈で切らせて、足がかりを拵え、やっと横切って、その万年雪の縁と、そそり立つ絶壁の裾と、蹙まり合う