輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
あずさがわのじょうりゅう
山岳紀行文集 日本アルプス
小島 烏水
線上閱讀小島 烏水《山岳紀行文集 日本アルプス(あずさがわのじょうりゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 138,795 字 · 274 頁
次いで頭にひらめくものは、放電であった。鼻の先にぴかりと光ったのが早いか、鳴りはためいた。足許に白蟻ほどの小粒なのが、空から投げだされて、算を乱して転がっている。よく見ると雹だ。南は斜に菅笠冠りの横顔をひんなぐる。あわてて、糸立を肩にひろげたが、透るようなビショぬれで、ポッケットにはさんだ紫鉛筆の色が、上衣の乳の下あたりまでにじみだした。熔岩の岩盤からは、白糸のようにさばかれた千筋のたき津瀬がたぎり落ちて、どれが道やら、わらじやら、ミヤマハンノキやら、無分別になった。幾たびとなく足をすくわれ、のめり、手を突きながらも、温度は手が凍えるまで下らなかったので、金剛杖や糸立を強くつかんで、大宮口の五合目へ、ほうほうの態でたどりつき、たき火でぬれた上衣を、かわかすのに暇取った。
ここから宝永山の噴火口へは、三丁位であろう。雨あがりのすんだ空に、第一噴火口と、第二噴火口の馬の脊道に立って見あげる。火口壁は四十度以上の急角度で、胸突八丁よりも峻嶮に、火口底までは直径約一千尺の深さで、頂上内院大火口よりも深いものである。灰青色した緻密の熔岩と砂礫と互層をしているところを、筋違いに岩脈がほとばしって、白衣の道者たちが大沢で祈ったのと同じように、この岩脈を十二薬師の体現と信じて、崇拝するという話である。