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あずさがわのじょうりゅう

山岳紀行文集 日本アルプス

小島 烏水

線上閱讀小島 烏水《山岳紀行文集 日本アルプス(あずさがわのじょうりゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 138,795 字 · 274 頁

青空文庫

も槍ヶ岳で私の実見したところである。私は『日本アルプス』第二巻で、それを「色が桃紅なので、水晶のような氷の脈にも血管が通っているようだ」と書いて、原因を花崗岩の※爛した砂に帰したが、これは誤っている、赤い雪は南方熊楠氏の示教せられたところによれば、スファエレラ・ニヴァリス Sphaerella Nivalis という単細胞の藻で、二本の鬚がある。水中を泳ぎ廻っているが、また鬚を失って円い顆粒となり、静止してしまう、それが紅色を呈するため、雪が紅になるので、あまり珍しいものではないそうである、但し槍ヶ岳で見たのも、同種のものであるや否やは、断言出来ないが、要するに細胞の藻類であることは、確かであろうと信ずる、ラボックの『瑞士風景論』中、アルプス地方に見る紅雪として、挙げてあるのも、やはり同一な細胞藻であった、この外にアンシロネマ Ancylonema という藻が生えて、雪を青色または菫色に染めることもあるそうであるが、日本アルプス地方では、私は未だそういう雪を見たことはない。(紅雪を標品として採集するには、雪と共に瓶の中へ入れ、フォルマリン薬を臭気強いまで滴下して置けば、雪は無論溶けるが、藻は保存が出来る、ただし紅色はやや久しいうちには、全く失われるが、学術標品としては差支えないのである。