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あずさがわのじょうりゅう

山岳紀行文集 日本アルプス

小島 烏水

線上閱讀小島 烏水《山岳紀行文集 日本アルプス(あずさがわのじょうりゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 138,795 字 · 274 頁

青空文庫

しかし世界の何所にも、そんな現象がないのは、山頂の積雪は、それ自身の圧力で表面は融解し、時々の雨や雲霧で氷に固形し、これらがそれ自からの重量のために凝れる河(即ち氷河)または短かい舌状の氷流となり、徐々と低地に向って垂れ下り、または融解蒸発して再び雪となり、山頂に下って、前の通りを循環するからである。そうでなかった日には、雪ばかりの山が、大崩雪となって、日本のように山岳が多くて平原の狭い国は、平原中が雪で埋没されるわけになってしまうのである。

山岳に登ったことのない人は、山の頂点に行けば行くほど、寒いから雪が多量に積むものと考えているらしいが、事実はそうでない。頂点は風力が強くて、雪を飛散させるためと、傾斜急峻で雪の維持力に乏しいためとで、かえって雪は少量または稀有である。その少量の取り残された残雪も氷河となって、遅緩なる運動を以て、山から下りて来るのである。またあまり高層へ行くと、空気は乾燥して水分を含むことが少ないから、雪はかえってないものである。近頃では展覧会などで見る「高嶺の雪」などいう日本画には、空気を絶したような峻急な高嶺に、綿帽子のように、むやみに雪を盛り上げたのがあるけれども、あれは誤りである。