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あずさがわのじょうりゅう

山岳紀行文集 日本アルプス

小島 烏水

線上閱讀小島 烏水《山岳紀行文集 日本アルプス(あずさがわのじょうりゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 138,795 字 · 274 頁

青空文庫

ただ岩石の硬軟に依って、時間の相違はあるが、結局同一相を呈する。山崎理学士は信州白馬岳の葱平(海抜約二千九百米突)近傍において、擦痕ある岩壁を見られ、それを氷河の遺跡と判断せられて、表面が丸く滑っこく、その上に擦痕があるのを特徴に挙げた。氷河の遺跡ということが、確説であるか否かは、氷河を見たことのない私は知らぬが、雪辷りの痕も、岩壁の擦面は婉曲になって、また擦痕も谷の方向に走っていることは、例を示すことが出来る。

ただしかし一口に雪辷りと言っても、その雪は水に近い普通の雪解であるか、または氷に近い万年雪であるかによって、痕跡の状態に多大な相違を来すのである、両者の主なる相違は、水は低いところ、窪んだところに、活溌に働作をするのであるが、万年雪や氷は、寧ろ凸出した表面に働作をするのである、それだから、その擦痕も、水のは凹形になっているが、万年雪や氷河のは、凸形になっている、白馬岳の擦痕は、やはりこの凸形の方に属するらしく、富士で見たのは、いずれかと言えば凹形の方に属している。

四

山上において、積雪がどういう状態をしているかという事は、下界の人々には解らぬことであるから、最後にこれを説こうと思う。