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やまびこおとめ

山彦乙女

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《山彦乙女(やまびこおとめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 126,360 字 · 251 頁

青空文庫

「御役替えだそうだが」

松室が半之助に云った。

「今日はわれわれが招待するわけか、それとも安倍の招待か」

「どっちでも同じことだろう、早く汗を拭いて坐るがいい」

主馬が答えた。

二人が浴衣になり、膳がはこばれ、ようやく盃がまわりだした。村田がおそいがどうしたろう、などと云っていると、なをがあがって来て、「青山さまにお客さまです」と云った。

「お武家さまがお三人で、下まで来て頂きたいと仰しゃっています」

「侍が三人、誰だろう」

主馬は首をかしげながら立ちあがった。

主馬が下へおりていって、まもなく、なをが彼の刀を取りに戻った。

「どうしたんだ」

「なんだかわかりませんけれど、いらしった方たちといっしょに、どこかへおでかけのようでございます」

「でかけるって……」

「はい、着替えも此処でしろ、刀も持って来させろって、お三人が青山さまを取巻いて」

「ちょっとみて来る」

重兵衛が立とうとした。

「いや待て、おれがゆこう」

半之助は彼をとめ、刀を右手に持って立ちあがった。

――身の破滅。

そんな言葉が頭にひらめいたのである。階段をおりてゆくと、店先に主馬が立ち、その左右を三人の侍が、いきごんだ姿勢で、とり囲んでいた。