輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

やまびこおとめ

山彦乙女

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《山彦乙女(やまびこおとめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 126,360 字 · 251 頁

青空文庫

――今となっては、このしゃがれ声が恨みでございます。

文造はそのしゃがれ声で、しんじつ恨めしげにそう云った。この話でもわかるとおり、彼はごく人の好い、朴訥な性質らしく、半之助に対しては、はじめから同情的であった。

――いや、なにも仰しゃるな、みんなわかっております。

そんな眼つきで、頼みもしないようなことまで、こまかく気をくばって、親身に面倒をみて呉れた。しぜん、半之助はよけいな身の上話などする必要がなかった。ときどきさりげなく、――向うに見えるあの山へでもはいって、二三年しずかに心の修業をしたい。こう云うのである。すると文造は、よく心得たふうで、それにはどの山がよいとか、食糧や山ごもり用の支度は、これこれの物を揃えろ、というぐあいに意見を述べ、なお、甘利山とその周辺の、特異な伝習や、人情気風についても、いろいろと注意すべき点を語った。

半之助はいそがなかった。準備がすっかり出来て、近い山やまの雪が溶けてからも、なおゆっくり構えていた。そして三月になり、桜が咲きだすのをみて、ようやく宿を立った。

宿の主人は、たけ沢の北にある、鷹山へはいれと云った。