輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

やまびこおとめ

山彦乙女

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《山彦乙女(やまびこおとめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 126,360 字 · 251 頁

青空文庫

と諄く注意した。それで用心をしているのだろう、主馬は肩をすくめた。

「つまらない伝説ですよ、本所のおいてけ堀のたぐいで、どこにでもそんな無稽な話はあるもんです、だって」

「――おかしい」

平四郎は首をかしげた。もちろん主馬の云うことなど、聞いてはいないのである。しげしげと池を見、池の西と南を囲んでいる林を眺めた。

右には甘利山のゆるやかな山腹がのび、うしろには茅戸山がある。ひとくちに云うと、山の尾根と尾根にかこまれた湖沼で、車前草に似た広葉の草や、いぬそばや藺に似た草などの生えている水際の線は、出入りや彎曲が多く、対岸の林の樹影をうつす水は、たっぷりと溢れるほどの水量であるが、それは不透明に濁っていた。

向うの林は杉と椹で、幹の太さは、いずれも直径二尺ばかりあるだろう、樹下がまっ暗になるほど密に茂ってい、そのあいだに若木の山桜だろう、羞じらうように白く、咲きかけているのが、二、三みえた。

「いったいどうしたんです、なにがそんなにおかしいんですか」

「――水がね、濁っている」

平四郎は口ごもった。

「濁ってちゃ悪いんですか」

「――その理由がね」

ずっと雨も降らない、流れ込む川もない。