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やまうらきよまろ
山浦清麿
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《山浦清麿(やまうらきよまろ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 45,573 字 · 91 頁
その声に、ふたたび此の世の肉体へ、飛んで返って来た意識を持って、はッと、首を擡げた山浦清麿は、両手を、懸命に縁の板へついて、わずかに、戸の開いている方へ、身をにじり廻した。
――そこから、彼方遙か、京都の方を望んで。御所の常盤木を胸に思って。
『…………』
十一月の夜、霜より冴えた夜、星は一つ一つ、燦としていた。
恭しく頭を下げるなり、同時に、山浦清麿の鍛った刀は、山浦清麿の喉を突き刺して、かりの世の肉体を、ふたたび永遠の溶鉱炉へと送り戻した。
〔作者附記〕山浦清麿の遺作は今日猶、不朽な銘刀として遺された物少くありませんが、彼の事歴は、死後湮滅された為、殆ど記録も稀れで、作者の推理と、想像に拠った所寡少としません。又、脚色上仮想人物の点出も云う迄もなく、主人公が近世の人物であり、現存縁故者もあるべく思われるので、敢て、お断りいたしておく次第です。猶、熱心なる山浦清麿研究家藤代義雄氏、岩崎航介氏などの作者に寄せられた御好意をも、併せて多謝いたしておきます。
(昭和十三年九月)